本日、読了。

陳舜臣では2冊目。
『陶展文』シリーズの2作目。
<あらすじ> ミナト神戸を舞台に展開する風味豊かな本格ミステリ!
昭和八年、東京での留学生活を終え帰国の準備をしていた陶展文の元に、
神戸で海産物問屋を営む友人・喬世修から一通 の手紙が届いた。
その内容とは、中国から見たこともない怪しい異母兄がやって来た後に
父が病死し、どうもその兄の真偽を観察してもらいたいという。
展文は、彼の頼みで久しぶりに神戸の同順泰公司の三色に塗り分けられた
建物を訪れる。やがて、そこで父の腹心だったコックが殺される事件が発生し、
展文の推理が始まる。
<感想> 前作「枯草の根」のストーリーはまったく覚えていませんが、読後にすっごく爽やか?鮮やか?スッキリ?のような気分だったようなことは覚えていて、それ以来なので5~6年ぶりの陳舜臣です。
確か当時は映画「レッドクリフ」の三国志ブームだったので、陳舜臣の三国志を読もうかどうか迷ってたと思いますが、結局は漫画の横山光輝の「三国志」と「蒼天航路」だけ読んでブームが去りました。
「枯草の根」は陶展文が50代ですが、今作は20代の青年時代の話なので、ちょっと記憶にある雰囲気とは違います。
中国から見たこともない怪しい異母兄の素性や、喬世修の病死した父親が中国で強盗をした過去があるかもしれないという噂などストーリーを盛り上げる布石があったんですが、アッサリと流されてしまったので、ちょっと肩すかしをくらった感じです。
変則的な密室殺人事件は起きますが、ミステリ小説というよりは昭和初期の神戸のノスタルジックな小説だと思った方がしっくりいきそうな作品です。
ちなみに「三色」は事件とは何も関係ありませんので。
【陳舜臣 読了リスト】
枯草の根
第7回江戸川乱歩賞
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