本日、読了。

先日亡くなられた山崎豊子さんです。
本当に残念ですがご冥福をお祈りします。
彼女の作品では5冊目の感想になります。
<あらすじ> 大阪船場に生まれ若くして両親を失った大庭式子は、三人の
若い弟子たちと甲子園に聖和服飾学院の新校舎を建設する。
一方、学院に出入りし、さまざまな場面で式子をサポートする
八代銀四郎は、東京の名門大学を卒業し、折角、一流会社に
就職したのに、一年でサラリーマン生活に見切りをつけるという
ちょっと変わった経歴の持ち主。
式子は、学院を手伝う銀四郎の強引なまでの求愛を受け入れ
てしまう。そして、銀四郎の商才にたけた巧みな手腕で、式子は
虚飾のファッション界の階段を昇っていく。
しかし、銀四郎は、なぜか三人の弟子たちとも次々と関係を
結ぼうとする。そうしたなか、式子は、学院の理事に招請した
銀四郎の恩師・白石の静謐なたたずまいに心を奪われるの
だが……。
<感想> 主役はもちろん、大阪船場生まれのお嬢さんデザイナー大庭
式子なんですが、影の主役は、女性4人を手玉にとった八代
銀四郎でしょう。
彼は東京の名門大学を卒業して、格好良くて、フランス語が
喋れて、商才に長けているとはなんとも羨ましく、敵にまわせば
恐ろしいけど、味方につければこんなに頼りになる人はいません。
何でも金勘定で考え、ねちっこい大阪弁を操り、女性の虚飾の
心理を操って身も心も自分の野望のために食い尽くしてしまい
ます。
そんな彼を象徴するのが何と言っても最後のシーン。
彼が金づるの式子を手放さないために、彼女に無理な借金を背負わせることで白石教授とも別れさせ、精神的に追いこんでしまったことにより、彼女は自殺してしまいます。その新聞の死亡記事の大きさを定規で測り、その記事までも広告料に換算してタダでデザイン学校の宣伝が出来たと割り切ってしまうことが彼の非常さを物語っています。
ついでですけど、式子と白石教授がパリ・ポルトガルを幸せに旅行する場面が読みながら他と違和感をあるなぁと思っていたら、山崎豊子の体調が悪く地図を見ながら、旅をしている気分で書いたそうで、本人曰く、後からその地を訪れたら寸分違わなかった、とあとがきで自慢していますが、読者としては、全体の話の雰囲気とは違和感ありすぎだろうと思ってしまう場面でした。
【山崎豊子 読了リスト】
花のれん
第39回直木賞
女系家族〈上〉
〈下〉
ぼんち 暖簾
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