本日、読了。

篠田節子では7冊目。
<あらすじ> 遭難したダイビング仲間を探すため、奥多摩の地底湖に潜った
長谷川正人は複雑に枝分かれした水中洞窟に迷い込む。
命綱は切れて酸素の残りもわずか。死を覚悟した正人を出口へ
と導いたのは、直接頭に入り込んできた“彼女”だった。
体の奥に響く衝撃とともに浮かぶイメージ。
あれは一体何だったのか。
正体を明らかにしようと再び正人はその地へと向かう―。
<感想> 『アクアリウム』 なんで家の水槽で熱帯魚を楽しんで、碧い海に潜ってトレンディドラマのような生活を送るのかと思ったら舞台は、誰も潜らない奥多摩の地底湖。
しかもそこに居るのは得たいの知れない全長3メートルの半透明の巨大魚(つけた名前はイクティ)。これだとホラー?SF?ファンタジー?と疑ってしまいます。
そして、そこで行方不明になった友人の純一を潜って探すわけですが、死体を発見してしまい、無事警察に死体を引き渡すので、目的達成で物語終了!と思いきや、次は、イクティの生息する地底湖を守るために奥多摩の環境破壊の原因となっているトンネル工事の反対グループに属してしまいます。
ここからは、社会派?となり、話が変な方向に向かっていきます。
実は、そのグループリーダーは政界に進出することが目的で、環境のことは何も考えずに派手なパフォーマンスだけが目的だということがわかり、何も進まないことがわかってしまいます。
そして、正人が選んだ奥多摩の環境も守るための最終手段が、『トンネル爆破』 となんだか『アクアリウム』とはだいぶかけ離れた方向に行って、『ひとりテロ』なってしまっています。
ですから、水中生物の話よりも、環境保護団体の裏のあり得るストーリーとして読むとなかなか興味深く、世の中はキレイごとばかりじゃないんだぁ、という現実にちょっと失望してしまいます。
また、手軽に手に入る材料だけで爆弾が出来てしまうのにもちょっと驚きです。
まだ7冊しか篠田節子を読んでませんが、彼女のジャンルの広さを感じる1冊になりました。
【篠田節子 読了リスト】
贋作師
聖域
夏の災厄
ゴサインタン―神の座
第10回山本周五郎賞
絹の変容 第3回小説すばる新人賞
ブルー・ハネムーン