本日、読了。

多岐川恭では1冊目。
第40回直木賞。
<あらすじ> 第40回直木賞作「落ちる」「ある脅迫」「笑う男」を含めた多彩な
趣向に満ちた初期の秀作7編。
①落ちる
自己破壊衝動に駆られる危うい精神状態の男の逆転劇
②猫
隣りに住む夫婦の殺人事件に巻き込まれ、その夫に迫ら
れる女性の災難
③ヒーローの死
九州の田舎のホテルで死んだ神童と呼ばれた男の謎
④ある脅迫
万年ヒラ銀行員のささやかな逆襲
⑤笑う男
完全犯罪かと思われた事件の皮肉な露顕
⑥私は死んでいる
囚われの身となった老人の視点でユーモラスに描いたサスペンス
⑦かわいい女
夫に束縛された妻の黒い本性を友人が暴いていく物語
<感想> この短編集は何度か文庫化されているようで10編収録のものもあるようですが、私が読んだ1985年版は7編でした。
多岐川恭を読むのが初めてで世界観がわかり難く「落ちる」を読んだらやめよう断念しようと思ってたら、結末の意外性が良かったので最後まで読んでしまいました。そのなかでも次の2つがお気に入りです。
「ある脅迫」 銀行のダメ社員・又吉が宿直のときに銀行強盗が入り、それが上司である次長の強盗訓練だったという話。実は訓練に見せ掛けた本当の強盗だったという次長の嘘を見破った又吉と次長のじわじわ変わっていく立場の逆転が秀逸です。
「笑う男」 過去の汚職事件の発覚を恐れた元職員が事実を知る愛人の計画殺人を犯すのですが、用心には用心を重ねたのに・・・えっ!お前が刑事?と意外な人に逮捕されてしまいビックリです。
どの短編も人物の心理がよく描かれた雰囲気のいい作品でした。
スポンサーサイト