本日、読了。

宇江佐真理では3冊目。
<あらすじ> 安政三年、坂の町・肥前長崎。
一人の少女が目指すのは、鎖国している日本の中で唯一、
開かれた窓が出島だった。
そこで通訳として働く父から英語や仏語を習う十歳のお柳。
「うち、お父ちゃんのように通詞になりたかとよ」
女人禁制の職に憧れる幼いお柳の運命は、釜次郎(のちの
榎本武揚)との出会いによって大きく変わっていく。
攘夷運動、大政奉還から戊辰戦争へ。
激動の時代に消えた一人の「男装」の通詞。
<感想> 田島勝太郎(たじまかつたろう)って知ってますか?
では、田島勝(たじまかつ)は?
なら、アラミスは?
実は同一人物なんです。
田島勝とは、幕末のフランス通詞(通訳)の女性です。
通訳としての能力が高いにもかかわらず、その時代には女性が通訳にはなれなかったので、榎本武揚が彼女を男装させて通訳として雇ったのが、田島勝太郎。
そして、幕府軍を支援したフランス人のジュール・ブリュネがスケッチした題名の1つが、
『初めて出会ったフランス語を話す日本人ジッタロウ(通称アラミス)』
もちろんアラミスとは、アレクサンドル・デュマの『三銃士』のアトス・ポルトス・アラミスのことです。
ところが、田島勝は、座頭市の産みの親である 子母澤寛(しもざわかん)の『ふところ手帖』の『才女伝』に出て来るけど、裏技で通訳していたので幕府に記録はなく実在するかも怪しいらしい。
ということで、この『才女伝』とジュール・ブリュネのスケッチから宇江佐真理が創りあげた架空の人物が、主人公の 田所柳(りゅう) なんです。
つまり、『アラミスと呼ばれた女』はフィクションなんです。
スゲー、男装して通訳として開陽丸で五稜郭まで行ったこんな女性が幕末におったんやぁ、てビックリしながら、あとがきを読むとフィクションだと知り、今度は違うビックリです。そして、宇江佐真理に拍手!
ちなみに、、ジュール・リュネは実在して、勲三等旭日章をもらったほどの人物だそうです。
それと恥ずかしながら、榎本武揚については、『五稜郭で土方歳三と一緒に戦って負けた人』ぐらいしか知識がなかったので、まさか戊辰戦争の後も生き延びて、いろんな大臣を歴任して、郵便局の〒のマークの誕生に関わっていたり、あの田中正造の足尾銅山鉱毒事件のときの農商務大臣だったことに驚きました。
なかなか魅力的な人物だったので、彼を題材にした小説があれば、また読みたいと思います。
【宇江佐真理 読了リスト】
無事、これ名馬 春風ぞ吹く~代書屋五郎太参る
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