本日、読了。

今野敏では5冊目。
安積班シリーズでは5作目で、神南署編では2作目。
<あらすじ> マニアを熱狂させるバーチャル・アイドルの有森恵美。
警視庁生活安全部少年課に所属する警察官宇津木真は、今話題の
彼女のコンサートにいってみた。しかし、彼が遭遇したのは実に奇妙な
コンサートだった。メインのアイドルの有森恵美が登場しないままステージが
進んでいるのに、客は何も不満を訴えていないのだ。
そして、演奏中突然発生した暴動の中で、一人の少年が刺殺された。
現実主義者の刑事たちの前に、メディアと都市風俗の迷宮が待ち受けていた。
仮想現実の世界で生まれたリアルな殺意の真相を探る。
電脳メディアに宿る現代の「聖画」とは!?
若者たちの神々は降臨するのか……。
<感想> イコンって何だと思いますか?
不良中学生に手を焼いていた元中学教師が復習するというストーリーで進んでいったので『遺恨』だろうと思っていたら、イコンとは東方正教会で使われる宗教画のことで、現世と神の世界をつなぐ窓だと考えられているそうです。
そして、皆さんお馴染みのパソコンのデスクトップにあるアイコンの語源はこのイコンだそうで、まさに現実とバーチャルな世界を結ぶ窓になっています。
ということで、バーチャルな世界に存在する都市伝説のようなアイドル・有森恵美(有森也実と間違えそうですけど)を
中心として連続殺人事件が発生するんですけど、現実しか信じないおじさん刑事たちにこの存在を理解させる件(くだり)が笑えます。
ザ・ベストテンからスター誕生、おニャン子クラブ、最後は千葉麗子まで登場して、今野敏はアイドルに詳しいなぁ、何者だ?って解説読むと元音楽プロデューサーらしい、なるほど!
安積(佐々木蔵之介)が村雨(中村俊介)に気を遣いすぎたり、須田(塚地武雅)の評価が高過ぎたり、相変わらず心理描写がオモシロいんですけど、更に、速水(細川茂樹)の人間観察が的を得ているのが笑え、もっと言うとドラマのハンチョウそのままなのでもっと楽しめます。
それにしても、蓬莱の次はバーチャルアイドルとは今野敏は守備範囲が広いなぁと思える作品でした。
【今野敏 読了リスト】
二重標的(ダブルターゲット) - 東京ベイエリア分署
安積警部補シリーズ(ベイエリア分署)1
虚構の標的(虚構の殺人者) - 東京ベイエリア分署
安積警部補シリーズ(ベイエリア分署)2
硝子の殺人者―東京ベイエリア分署 安積警部補シリーズ(ベイエリア分署)3
蓬莱 安積警部補シリーズ(神南署)1